• いまい動物病院

【獣医師が解説】狂犬病ワクチンの重要性

狂犬病とは

全ての哺乳類に感染するウイルスであり、もちろん人も例外ではありません

人も動物も感染し、発症してしまうとほぼ100%の確率で死亡してしまいます

感染ルートは主に、狂犬病に感染した動物に噛まれることで、ウイルスがその噛まれた傷口から体内へと侵入していきます


全哺乳類が感染源の可能性となることはありますが、主な感染源となる動物は


アジア・アフリカ: 犬・猫
アメリカ・ヨーロッパ: キツネ・アライグマ・スカンク・コウモリ・猫・犬
中南米:犬・コウモリ・猫・マングース

と言われています


発生している国は日本・英国・オーストラリア・ニュージーランドなどの国を除いた全カ国と言われています




                                  厚生労働省より


狂犬病予防法に関して

狂犬病予防法は狂犬病が日本にまだ蔓延していた時代(昭和25年)に作られたものです

狂犬病が清浄国となった現在でも存在する法律です




91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日以内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済み票の交付を受けなければならない




とあります


なぜ、人では1956年を最後に発生・動物では1957年を最後に発生がないのに、犬では、狂犬病注射が法律で決められているのでしょうか?


それは、


日本の近隣諸国アジア一帯では狂犬病が蔓延していて、


実際に2014年まで清浄国であった台湾が2014年に野生のイタチグマ3頭に発生し、そこからみるみる拡がっていき、ついには感染イタチグマから飼い犬へと拡がって行ったのです


ここが重要で、


みなさんの飼い犬がもし狂犬病注射を打っていなかったら、どうなるでしょう?


感染した野生動物から、みなさんの飼い犬に感染しうるでしょう


そして、飼い犬から、飼い主であるみなさんに感染しうるでしょう




つい最近(2014年)まで発生していなかった、日本同様の島国の台湾で実際に発生しているのです



もし、日本で狂犬病が発生した時に飼い犬が狂犬病の予防注射を打っていれば、飼い主への狂犬病の感染の可能性はグンと減るのです


狂犬病予防注射はもちろんみなさんの大事な飼い犬を守る1つの手段であるとともに、日本の全国民を狂犬病という恐ろしい病気から守る手段の1つでもあるため法律でいまだに定められているのです



よく飼い主さまからある質問の1つで、


狂犬病は猫にも感染するのに、なぜ犬だけが法律で定められていて、猫は打たなくていいの?



狂犬病は全哺乳類に感染し、感染源となりうるのですが、人が感染する場合はその感染源はほとんどが犬であると言われています


猫から人間へと感染が拡がっている例が多くなれば、日本でも法律の整備はしなくてはいけないでしょう


実際に、狂犬病が発生しているアメリカでは州によっては猫も狂犬病注射を法律で課している所があります





オーストラリアも狂犬病清浄国なのに、狂犬病の予防接種が法律で定められてないってホント?


オーストラリアでは動物愛護が進んでるから、狂犬病注射を打たないんだと勘違いされている方々がいらっしゃいますが、それは間違いです


オーストラリアも日本と同様狂犬病の清浄国です

しかしながら、日本と狂犬病の歴史が異なります


オーストラリアでは狂犬病は1度も発生したことがないため、オーストラリア内にいる動物全ては狂犬病を持っていないと仮定されます


ですので、狂犬病をオーストラリアで蔓延させないためには、狂犬病を持った動物の侵入を防ぐという措置をとるのがベストだと考えます


ですので、

合法的に入ってくる動物への検疫は大変厳しくしています


しかしながら、現実的に非合法的に動物が侵入してくることもあります(ヨットなどの船に乗せた犬が狂犬病の運び屋になる可能性)。そこを防ぐためにも、The Northern Australian Quarantine Strategyという感染症を発見する監視システムが存在します



もし、オーストラリアに狂犬病が入ってきたときは、根絶を目指す対策が取られることになるでしょう。蔓延した際には、動物の移動に厳しい制限があるとともに、迷子になったり、狂犬病の可能性のある動物は全て処分される可能性が高いかもしれません



このように同様の清浄国である日本とオーストラリアでも狂犬病に対する措置は違います


日本では、実際に狂犬病が50年以上前までは蔓延していた国であるということを忘れてはいけません


もしかしたら、誰も分からない山の奥には狂犬病を持った野生動物がいるかもしれないということをも想定しておかなければなりません



狂犬病という恐ろしい病気を再び日本で蔓延させないためにも、みなさんのご理解とご協力が必要になってきます


新型コロナウイルスが蔓延している現在、感染症に対するみなさんの意識は高くなっています


ぜひ、狂犬病予防接種を飼い犬にすることで、みなさん自信、そして大事なご家族ご友人の命をも守れるということを忘れないでください